銘柄分析:7353 KIYOラーニング(2021/11/15更新)

相場記録

※情報は、上場会社に関する情報提供のみを目的としたものであり、金融商品取引法に基づく開示資料や投資勧誘を推奨するものではありません。本記事及び本記事から得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等の一切について責任を負いません。投資は自己責任でお願いします。

ポイント

  • KIYOラーニングは個人向けにオンライン資格取得サービスと法人向けに社員教育サービスを提供する会社
  • 最も効率の合格しやすい講座を目指し、教育メソッドの改善を受講データ活用を通して行っている。
  • 今期はテレビCMにより営業利益率低下。資格試験が下期に偏っていることから下期に業績が偏る傾向あり。

基礎情報

【上場】 2020.7  【設立】 2010.1
【本社】 100-0014東京都千代田区永田町2-10-1永田町山王森ビル
TEL03-6434-5886
【従業員】 <21.6> 43名(38.0歳) [平均年収]534万円
【証券】 (主)日興(副)大和、三菱Uモル、SBI…
【銀行】 三菱U
【監査】 EY新日本
【仕入先】 ―
【販売先】 ―

経営陣のプロフィール

管掌経歴
(社長)綾部 貴淑日本オラクルにて教育コースの企画開発。IAFコンサルティングにて経営分析などの情報系システム導入。
(取締)島田 慶生「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイト。M&A後の経営再建、経営コンサル。
(取締)秦野 元秀管理部長泉証券(現SMBC日興証券)。イーコンテクストにて経営企画、上場準備。Gunosyにて人事。
(取締)高尾 廣明*
(常勤監査)望月 求*
(監査)湯浅 奉之*
(監査)佐藤 未央*

沿革

2008年10月 通勤講座を港区六本木で運営開始
中小企業診断士 通勤講座(現:スタディング 中小企業診断士講座)を開講
2010年01月 「KIYOラーニング株式会社」として法人化
2010年08月 本社を渋谷区猿楽町に移転
2010年11月 宅建 通勤講座を開講
2011年03月 FP 通勤講座を開講
2012年09月 スマートフォン・タブレット・PCで学習できるプラットフォーム「新ラーニングシステム」のリリース
2013年10月 ビデオ講座の制作拠点「代官山スタジオ」を開設
2013年12月 通勤講座の受講者(有料)が5,000人を突破
2014年01月 経済産業省主催「がんばる中小企業300社」に当社が選出
2014年06月 業務拡張のため本社を北青山に移転、撮影スタジオ兼セミナールームを開設
2015年12月 スタディング 税理士講座、スタディング 行政書士講座、スタディング 簿記講座を開講
2016年02月 2,250万円の第三者割当増資を実施
2016年04月 司法試験 通勤講座を開講
2016年05月 通勤講座の受講者(有料)が10,000人を突破
2016年10月 外務員 通勤講座、ビジネス実務法務検定 通勤講座を開講
2016年12月 コンサルタント養成 通勤講座を開講
2017年01月 マンション管理士/管理業務主任者 通勤講座を開講
2017年02月 データサイエンティスト基礎講座を開講
2017年03月 技術士 通勤講座、ビジネス著作権検定 通勤講座を開講
2017年05月 社員教育クラウドサービス「AirCourse(エアコース)」を発表
2017年06月 総額1億8,500万円の資金調達を実施
販売士(リテールマーケティング)通勤講座を開講
2017年07月 管理部門特化型エージェントの 株式会社MS-Japanと資本業務提携
知的財産管理技能検定® 通勤講座を開講
2017年08月 賃貸不動産経営管理士 通勤講座を開講
動画コンテンツ拡充に伴い専用スタジオを新設
2017年10月 弁理士 通勤講座を開講
2017年12月 危険物取扱者 通勤講座を開講
2018年02月 ITパスポート 通勤講座、個人情報保護士 通勤講座を開講
2018年06月 総額5億4,000万円の資金調達を実施
2018年07月 通勤講座の受講者(有料)が30,000人を突破
2018年10月 通勤講座スタート開始10周年
本社を千代田区紀尾井町に拡大移転
2018年12月 ブランド名を通勤講座からスタディング(STUDYing)に変更
2019年03月 スタディング 基本情報技術者講座を開講
2019年05月 スタディング 公務員講座を開講
2019年05月 エアコースに研修管理機能を追加
2019年05月 法人向けの社員研修動画を制作するサービス「動画制作おまかせパック」を開始
2019年10月 スタディング 建築士講座を開講
2020年03月 スタディング TOEIC©TEST対策講座を開講
2020年05月 AIがあなたの学習計画を作成する「AI学習プラン機能(ベータ版)」をリリース
2020年06月 スタディングの有料受講者が累計で7万人を突破
2020年07月 スタディング 貸金業務取扱主任者講座を開講

https://www.kiyo-learning.com/company/history.html

綾部社長自身が中小企業診断士に合格していることもあり、中小企業診断士の講座からスタートし、徐々に資格取得のための講座を拡充させています。

株主構成

【株主】[単]1,178名<21.6> 万株
綾部貴淑 91 (40.5)
ゴールドマン・サックス・インターナショナル 21 (9.4)
MS-Japan 10 (4.8)
UBS(ロンドン)アジア・エクイティーズ 8 (3.9)
日本カストディ証券投資信託口 8 (3.9)
日本マスター信託口 6 (2.9)
マイナビ 4 (2.1)
日本証券金融 4 (2.1)
池原邦彦 3 (1.7)
三菱UFJキャピタル6号投資事業組合 3 (1.6)

事業内容

サービスは以下の二つ。
個人向けオンライン資格講座サービス:Studying
企業向け社員教育サービス:AirCourse

個人向けオンライン資格講座サービス:Studying
スキマ時間に学習できる点を売りにしています。スマホアプリもあり、iOS版のレビュは高め、Androidは普通の★3.3でした。受講者がアプリ上で学び、上達が早い人のデータを分析してコンテンツの改良に繋がっているとのことです。

企業向け社員教育サービス:AirCourse
自社の社員教育向けサービスになり新人研修など向けのビジネスマナーやExcelの使い方などの標準コンテンツが受け放題になっており、自社で撮影した動画をアップして独自研修コンテンツとして配信し、テストも実施できるとのことです。コロナで集合研修が受けられないため、オンライン上で研修を受けさせたいというニーズにマッチしているとのこと。

競合分析

KIYOラーニング社の競合との差別化戦略としては各事業で以下のような方向になっています。


ビジネス分野でのオンライン教育関連として以下の上場企業を比較しました。

銘柄名KIYOラーニンTACビジネスブレークベネッセHインソース
株価 (10/01)1,380.0 円244.0 円446.0 円2,517.0 円2,101.0 円
売買単位100 株100 株100 株100 株100 株
時価総額93 億円45 億円64 億円2,582 億円895 億円
市場東証マザーズ東証1部東証1部東証1部東証1部
決算期2021/12 (12か月)2022/03 (12か月)2022/03 (12か月)2022/03 (12か月)2021/09 (12か月)
会計基準日本日本日本日本日本
株主優待なしありありありあり
予想PER45.8 倍11.9 倍50.7 倍48.5 倍55.1 倍
PBR9.36 倍0.73 倍1.50 倍1.70 倍21.70 倍
予想配当利回り0.00%2.46%2.47%1.99%0.48%
実績配当利回り0.00%2.05%2.47%1.99%0.44%
ROE31.46%7.18%2.22%1.84%14.92%
ROA11.18%1.99%1.23%0.59%9.57%
ROIC16.35%1.89%3.40%3.39%18.00%
EV/EBITDA38.0 倍5.4 倍10.5 倍7.6 倍97.8 倍
自己資本比率44.60%28.40%53.40%31.30%66.40%
決算期(月数)2020/12 (12か月)2021/03 (12か月)2021/03 (12か月)2021/03 (12か月)2020/09 (12か月)
売上高・営業収益1,522(82.3)19,749(-2.9)5,888(5.1)427,531(-4.7)5,119(-8.7)
営業利益172(215.4)404(149.4)200(25.0)13,089(-38.5)784(-39.8)
経常利益158(205.3)646(148.5)200(7.5)9,260(-44.7)795(-38.8)
当期利益165(210.0)405(293.2)100(132.6)3,122(-50.4)445(-46.7)
1株当たり利益24.8 円(-)21.9 円(293.2)7.2 円(132.6)32.4 円(-50.4)10.6 円(-46.7)
決算期(月数)2021/06 (3か月)2021/06 (3か月)2021/06 (3か月)2021/06 (3か月)2021/06 (3か月)
売上高・営業収益526(49.9)5,736(12.4)1,522(29.0)105,461(7.5)1,871(121.7)
営業利益-4(-116.7)622(21.5)31(140.8)-1,021(80.6)474(349.5)
経常利益-5(-121.7)628(22.4)32(142.7)-2,658(64.2)478(349.0)
当期利益-4(-117.4)432(23.4)7(107.8)-3,032(46.5)326(305.0)
1株当たり利益- 円(-)23.4 円(23.5)0.5 円(-)- 円(-)7.8 円(-)
決算期(月数)2021/12 (12か月)2022/03 (12か月)2022/03 (12か月)2022/03 (12か月)2021/09 (12か月)
決算期(月数)2020/12 (12か月)2021/03 (12か月)2021/03 (12か月)2021/03 (12か月)2020/09 (12か月)
営業キャッシュフロー7241,44386925,843191
投資キャッシュフロー-130270-341-19,698-624
財務キャッシュフロー724-86422-4,745-639
現金等1,8305,1181,893144,0352,219
発表済み最新決算期2Q1Q1Q1Q3Q
売上高進捗率42%28%22%24%72%
営業利益進捗率-41%104%10%-6%72%
経常利益進捗率-42%109%11%-22%73%
当期利益進捗率-31%114%6%-61%72%
原価率20.50%60.90%53.80%56.50%28.80%
売上総利益率79.50%39.10%46.20%43.50%71.20%
販管費率68.20%37.10%42.80%40.50%55.90%
営業利益率11.30%2.10%3.40%3.10%15.30%
経常利益率10.40%3.30%3.40%2.20%15.50%
当期利益率10.90%2.10%1.70%0.70%8.70%
流動比率170.30%92.90%83.50%162.40%219.20%
有利子負債比率11.80%77.40%36.50%80.80%- %
ネットD/Eレシオ-175.10%-11.20%-5.70%-8.10%-77.00%
固定比率25.60%170.70%133.90%151.00%45.80%
長期固定適合率23.80%108.80%108.90%71.00%44.50%
総資産回転率0.69 回0.97 回0.70 回0.79 回1.18 回
売上債権回転率72.52 回5.21 回19.90 回14.69 回7.47 回
棚卸資産回転率20.58 回22.09 回60.71 回13.56 回204.80 回

粗利率という観点で比較するとKIYOラーニング>インソース>>>ビジネスブレイクスルー、ベネッセ、TACという順のようです。インソースが予想以上に粗利率が高いです。KIYOラーニングはオンライン専門のため、一度撮影した動画を使いまわせることや教室などの不動産を保有していないことが粗利率の高さに繋がっていると想定されますが、インソースの高さは意外でした。また、 EV/EBITDAの高さもインソース>KIYOラーニング>>> ビジネスブレイクスルー、ベネッセ、TACの順になっており、株価に利益率の高さが反映されていることがわかります。

また、KIYOラーニングが直近営業赤字になっているのが気になるところ。

チャート

直近1年のパフォーマンスはインソース>TAC>ビジネスブレイクスルー>ベネッセ>KIYOラーニングの順になります。KIYOラーニングは上場後の高値を付けたのちにズルズルと下げています。

事業のリスク

成長可能性

今期業績について
直近業績では1Qと2Q続けて営業赤字となっていますが、今期は積極的なテレビCMをうっており、広告宣伝費の増加と人材採用に起因しているようです。ちなみに採用HPを確認したところ、エンジニアとスタディング事業部のマネージャーを募集していたので既存事業を伸ばしていく方針なのでしょう。

また、KIYOラーニングは3Qと4Qに資格試験日が多いことから利益も下期による傾向があるとのことです。

成長戦略

決算説明資料以下の内容では、スタディング講座は引き続き最も合格できる講座を目指してコンテンツ強化やデータとAIを活用した機能強化に取り組むとのことです。AirCourseはコンテンツの強化を進めつつ顧客開拓のためのマーケティングや販売チャネルを増やしていく方針とのこと。

2021年12月期 第2四半期決算説明資料
2021年12月期 第2四半期決算説明資料

中期経営計画では2023/12期では売上44億、営業利益4.7億(営業利益率10.7%)の目標になっています。

長期目標としては以下の成長イメージになります

2021/3Q決算について

決算説明資料より

数値面ですが、売上が昨対でみると55%増と大きく伸びており、メインのスタディング事業が順調に伸びています。法人向けのAircourseが通期予想に対して進捗率少し悪めなのが気になるところ。

ただ契約企業数自体は昨対で57%以増えているため、契約した企業による利用が4Qに入ってくると無事通期予想に到達するかもしれません。Aircouseのコンテンツ拡充も進んでいるようです。

営業利益以下の通期進捗が不安ではありますが、KPIが順調に増加している点はポジティブな内容だったかと思います。引き続きウォッチしていきたいと思います。

参考資料

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