業界研究:M&A業界に投資する際の基礎情報と企業比較

相場記録

※情報は、上場会社に関する情報提供のみを目的としたものであり、金融商品取引法に基づく開示資料や投資勧誘を推奨するものではありません。本記事及び本記事から得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等の一切について責任を負いません。投資は自己責任でお願いします。

事業環境

  • 中小企業庁が2016年調査した内容だと2025年には中小企業経営者の年齢は70歳以上が245万人、70歳未満が136万人と70歳以上が大半を占め、その半分の127万人が後継者未定となる見込み。
  • 約4割超の経営者が事業承継を考えていない(2020年中小企業庁「中小企業実態基本調査」より)
  • 現時点でも休廃業・解散した企業の61.4%は黒字であり、黒字廃業予備軍は60万社以上あるとみられている
  • 事業承継の問題を解決しなければ2025年までの10年間で累計約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性がある。(2017年の日本の名目GDPは553兆円のため約4%失われる計算)
  • 中小企業のM&Aは現状年間6000件弱に留まっており、中小企業庁は127万社といわれる潜在的な後継者不在の企業数と比較して不十分と認識している。そのため2019年に「第三者承継支援総合パッケージ」として様々な施策を打ち出している。
中小企業庁 20191220「第三者承継支援総合パッケージ」より
  • 事業承継には以下の5パターン存在し、後継者なしの場合M&Aが主流化している。
    後継者あり:親族への株式譲渡、経営陣によるMBO、社員の社長への内部昇格という
    後継者なし:外部招聘(外部人材を招聘し、経営を引き継がせる)、M&A
  • 中小M&A推進計画
    経済産業省の中小企業庁が今後5年間で官民で推進すべき取り組みを2021年4月に取りまとめたもの。
    M&A活用を促すため、企業価値評価ツールの提供や補助金によるセカンドオピニオンの取得、中小M&AにおけるPMI指針の策定、中小企業向けファンドによる支援などを計画として策定している。

M&A業界のプレイヤー

出典:https://hrsquare.jp/ma#5f6ed7cdf35b157580d0ba77-932dcad03b718963339adbb9

M&A市場では成約金額ごとにプレイヤーが分かれている。

また、機能面でも分かれている。

  1. 買い手と売り手のマッチング:M&A仲介業者、証券会社、マッチングサイト
  2. 必要な資金を調達(ファイナンス):銀行、証券会社
  3. バリュエーション(企業価値評価):監査法人、会計事務所。大規模案件や複雑な案件が多く、中小企業のM&Aには関与しないケースが多い。
  4. 契約:法律事務所、税理士法人

M&A業界カオスマップに関しては以下サイトがまとまっていた。
M&A業界カオスマップ公開とそこから見るM&A業界のイマ

M&A仲介の業務について(例:M&Aセンター)

M&A仲介ではM&Aセンターの場合、成約まで平均8か月ほどかかるとのこと。
全国に提携している地銀や税理士などのネットワーク経由で売り案件が出ることが多いようです。テレアポやダイレクトメールによる営業も行っているとのこと。
参考動画として以下を貼っておきます。

企業比較

定性比較

日本M&Aセンター
特徴:日本で最初に上場したM&A仲介でありリーディングカンパニー。1991年に元会計士が立ち上げた会社で全国に地銀や会計事務所などとのネットワークを持ち、情報が集まってくる点が強み。

M&Aキャピタル
特徴:譲渡先の決定まで売り手側は無料。直接提案型営業が中心だがテレビCMの放映や銀行との提携など反響型営業も進めている。

ストライク
特徴:公認会計士を中心とした集団で直接営業が41%、提携先からの紹介が59%。M&A OnlineやSmartなどネットの活用が特徴

フロンティアM
経営コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、再生支援を行う会社。企業の収益改善に関わる点をワンストップで行うところが特徴。ファイナンシャル・アドバイザリーではM&A戦略やM&A案件の紹介などを行う。

オンデック
大阪本社のM&A仲介会社。平均報酬単価は3400万円。90%の案件が金融機関や証券会社、公的機関などからの紹介。

ブティックス
介護業界に強みを持つ展示会主催会社。展示会開催と共にM&A仲介も行う。

銘柄名日本M&AHM&AキャピタルストライクフロンティアMオンデックブティックス
株価 (10/05)3,095.0 円5,930.0 円3,900.0 円972.0 円2,415.0 円2,449.0 円
売買単位100 株100 株100 株100 株100 株100 株
時価総額10,416 億円1,881 億円755 億円111 億円69 億円124 億円
市場東証1部東証1部東証1部東証1部東証マザーズ東証マザーズ
決算期2022/03 (12か月)2021/09 (12か月)2021/09 (13か月)2021/12 (12か月)2021/11 (12か月)2022/03 (12か月)
会計基準日本日本日本日本日本日本
株主優待ありありありありなしなし
予想PER85.0 倍44.8 倍39.0 倍16.0 倍51.9 倍172.5 倍
PBR21.91 倍7.76 倍9.27 倍5.26 倍6.97 倍12.57 倍
予想配当利回り0.58%0.00%0.64%- %0.00%0.00%
実績配当利回り0.45%0.00%0.62%1.23%- %0.00%
ROE28.17%18.17%35.97%18.13%17.57%22.84%
ROA22.86%15.08%28.46%11.90%11.80%13.51%
ROIC24.41%16.67%28.38%17.40%15.86%13.77%
EV/EBITDA60.4 倍31.3 倍22.4 倍14.8 倍41.9 倍39.0 倍
自己資本比率81.30%85.00%78.30%64.60%62.70%55.80%
決算期(月数)2021/03 (12か月)2020/09 (12か月)2020/08 (12か月)2020/12 (12か月)2020/11 (12か月)2021/03 (12か月)
売上高・営業収益36,130(12.9)11,871(-5.7)6,916(36.2)5,192(8.8)811(25.3)1,277(-6.0)
営業利益16,408(15.2)5,051(-13.7)2,981(58.1)580(-12.5)149(23.1)281(50.3)
経常利益16,540(14.3)5,050(-13.7)2,983(57.9)575(-15.2)137(12.3)292(55.3)
当期利益11,415(11.1)3,407(-13.2)2,202(64.1)420(-2.1)89(14.1)198(52.3)
1株当たり利益34.5 円(11.1)108.2 円(-13.2)115.2 円(64.1)36.8 円(-2.1)31.9 円(14.1)39.6 円(52.3)
決算期(月数)2021/06 (3か月)2021/06 (3か月)2021/06 (3か月)2021/06 (3か月)2021/05 (3か月)2021/06 (3か月)
売上高・営業収益11,613(27.8)2,998(10.2)1,698(15.4)1,253(14.8)125(-)355(787.5)
営業利益5,854(19.8)1,125(-0.9)554(-4.3)-19(-11.8)-30(-)73(149.3)
経常利益5,807(19.1)1,131(-0.3)554(-4.3)-18(25.0)-29(-)73(149.3)
当期利益3,928(17.4)739(-5.4)372(-3.1)-17(10.5)-20(-)41(139.8)
1株当たり利益11.9 円(17.4)23.5 円(-5.4)19.5 円(-3.1)- 円(-)- 円(-)8.2 円(-)
営業キャッシュフロー11,4583,4812,888456-25130
投資キャッシュフロー22,324-71-133-59-41-45
財務キャッシュフロー-3,095-277-23075312
現金等41,86317,3617,8711,8995941,448
発表済み最新決算期1Q3Q3Q2Q2Q1Q
売上高進捗率31%76%67%40%14%22%
営業利益進捗率34%73%66%7%-68%66%
経常利益進捗率34%73%66%8%-76%66%
当期利益進捗率33%72%66%7%-80%58%

参考資料

東京経済2020年9月12日号
M&A総合研究所

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